9 February 2014

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今日は晴れて雪も溶けかけていて、かといって外に出かける気にもなれずに部屋の中で本を読んだり、昼寝を貪ったりしていました。こういった堕落的な生活から変えていかなくてはいけないとは思うのですが、。

写真について書こうと思いつつやっぱりこれは難しいものです。まずはじめに僕のワークフローとして、最終的にプリントがあったとして、その前段階はほぼ100%デジタル画像です。元のデータはフィルムで撮ったりデジタルカメラで撮ったりとありますが、手焼きをすることは少なく、インクジェットプリント、もしくはラムダプリントやライトジェットと言われるデジタル画像を銀塩のプロセスに乗せたものです。といいつつライトジェットプリントは使ったことがないのですが、。作品を作る際には最終的にどのような素材を使って、どれほどの大きさにするのか、ということがあると思います。僕は先日少し触れたように、大きなサイズにすることを最終的な作品の形態の一つとして考えています。そのようなサイズの写真は近寄って細かなところまで見ることが出来ること、離れて見たときにも視界の中一杯に広がる写真というのは存在感があります。映画館のような大きなスクリーンで映像を観た場合と、タブレット端末などで手元に近づけて映像を観た場合、どちらも同じような視界占有率(このような言葉であってるかな)にしたとしても、迫力では映画館の巨大なスクリーンにかないません。映画館では大きな空間の中で遠くに大きなスクリーンがあるというのを認知しているからなのでしょうか。とにかく、大きなサイズで写真をプリントする場合にはそれ相応のデータが必要になります。dpiという言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは1インチの中にどれほどのdotを入れこむのかというようなことで、ppiというスマートフォンで使われる言葉とも似ている部分があります。人間の網膜が識別できる限界の精度、というように言われている解像度があって、これが大体350dpi程度と言われています(見る距離があるので必ずしも一定ではないのですが)。そうして大きなサイズの写真をプリントしようと思った場合、ターゲットの解像度をどこに持っていくのか、ということがあります。大きなサイズの写真は、近くで見るものではないからdpiは低くても構わない、という考えから低解像度でプリントをする人もいるようです。僕は大きなサイズでも可能な限り細かな部分の描写がされていないと気がすまないので400dpiを基準に制作を進めています。そうなると大きなサイズのプリントを作る際には膨大なデータとなります。とても強引ですが、例えば1m四方の作品を400dpiでプリントしようと思ったら、1辺で約15,748ピクセル必要となり、15,748×15,748=247,999,504 約2億5千万画素が必要となります。こうなってくると市販されているデジタルカメラで実現するのはちょっとどころではなく難しくなります。なので、僕は大きなサイズの写真を作る際にはフィルムカメラを使っています。それをスキャンして大きなサイズの画像データとして編集していきます。Flextightというスキャナで最高の解像度(内部処理もしていますが)で読み込むと6×7のフィルムで17,000×14000程度 約2億3千万画素程度のデータになります。それでも足りない場合はPhotoshopに頼って更に大きなデータとしたりすることになるのですが。

技術的な話にばかりなってしまうのが良くないところですね。とにかく、大きなサイズのプリントは見ていて気持ちのいいものです。広い美術館に飾られる大きな絵画。観るというより体感するという方が感覚的に近いと思います。教科書の小さい写真でしか観たことのないような絵画を実際の大きさで観た時に感動するという経験は多くの人にもあるのではないでしょうか。映画の話もしましたが、僕は大きなプリントを作ることで、観るだけではなく、体感する感覚に近づけたいという思いがあります。
小さいプリントがダメというわけではなく、サイズはそれだけで意味を持ってくるように思います。自分が作品を作る上で、どのようなサイズにプリントを行い、どのような加工をして飾るのか、というのはおろそかにしてはいけない部分ではないでしょうか。プリントを額装するにしても、アクリルで圧着してプリントの平面性を高めるとか、アクリル圧着のままで展示し、浮いているように見える効果を狙うなど、他にも様々な方法があります。最終的にどのようなサイズにプリントするか、というのは作品の制作初期段階から頭にいれておかないと、いい写真が撮れたとしても大きく伸ばすことが出来ない、ということになりかねません。特にデジタルカメラは画素数が千万画素という単位のために、大きく伸ばした時にピクセルが見えてしまうことがあります。僕はどうしてもこのピクセルが見えてしまった写真が好きになれません。作品の性質にもよりますが、ブレやピンぼけがあっても大きなプリントには耐えられないことがあります。作品の善し悪しというのはそういったことの外側にあることなのだと思いますが、大きく伸ばしたいのにアラが目立つから伸ばせないという苦い経験は多くあります。
僕は基本的にプリントに無茶をさせることをしないので、大きく伸ばしたいときにはそれなりの精度を求めて、それが無理なら11x14in程度でやめておくというスタンスを取っています。すべての写真が大伸ばしに耐えられるなら良いのですが、まだそこまでの技量がないようです。
もっともそんなに何回も展示をする機会はないので、今はただHDDの肥やしとなっているデータが沢山あります。という感じで自分にも発破をかけて今年も頑張ろうと思います。

Filed under: diary, photo

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